【成果報告】GAプロンプト設計 × 生成AIプロジェクト

ここで紹介するGA生成実験とその評価結果は,2025年9月3日(水)~5日(金)に北海道科学大学(札幌市手稲区)で開催された「FIT 2025(第24回情報科学技術フォーラム)」にて報告を行いました。

※大橋美紗希, 岡愛美, 小澤賢司,
“グラフィカルアブストラクト生成のプロンプトエンジニアリングに関する考察,”
FIT2025(第 24 回情報科学技術フォーラム), 第3分冊 pp. 317-318 (2025).

グラフィカルアブストラクトとは?

近年,生成AIを活用した画像生成が急速に一般化し,日常的な日本語の指示でも高品質な画像が得られるようになってきました。
こうした技術の進歩により,研究成果を文章だけでなく,目で見て直感的に伝える方法をより身近なものになりつつあります。

そこで注目されているのがグラフィカルアブストラクト(Graphical Abstract 以下 GA)です。
GAは,研究内容や成果を一枚の図解に凝縮し,論文の要点を直感的に伝えるための手法で,文章では伝わりにくい情報を視覚的に整理することで,読者は一目で内容を理解できるようになります。
GAが必要とされる理由は明確です。

  • 限られた時間で要点を把握できる
  • SNSや学術誌上での露出,知名度向上につながる

研究者や読者が限られた時間の中で効率的に情報を把握することが求められる現代において,視覚的に要点を伝えるGAは,情報伝達のスピードと精度を両立させる手段として注目されています。
つまり,GAは研究成果を「見てもらうため」の入口であり,現代の研究発信に欠かせない存在になりつつあります。

山梨大学におけるオープンアクセス加速化プロジェクト

研究成果を広く届けるためには,論文やデータへのアクセスを容易にする取り組みが欠かせません。文部科学省の「オープンアクセス加速化事業」には,全国83機関が採択されており,本学もその一つです。

本学における取り組みの一つ「(3) 真の意味での万人への情報提供の実現 ー 専門外の方でも論文内容をイメージできるように,オープンアクセス時にはグラフィカルアブストラクトを付与する仕組みを構築します」が,ここで紹介する「GAプロンプト設計プロジェクト」です。

 「GAプロンプト設計」プロジェクトの目的

  1. 背景にある課題
    ・専門外の読者にとって,論文はハードルが高く内容理解が難しい
    ・GAは視覚的な要約として有効だが,プロによる外注はコストと手間の面で躊躇
  2. 本プロジェクトの狙い
    ・生成AIで論文のAbstractからGAを自動生成するプロンプトを検討
    ・誰でも使える,低コスト且つ実用的なGA生成手法の開発
  3. 意義
    ・専門外の読者へのアクセス性向上
    ・学術情報の「伝わる化」によるオープンアクセスの加速
    ・山梨大学の目標である「万人への情報提供の実現」への貢献

専門知識を持たない読者にとって,論文は専門用語や複雑な構成のため理解が難しく,内容にたどり着くまでのハードルが高いのが現状です。GAは,論文内容を一目で把握できる視覚的要約として有効ですが,専門デザイナーへの外注が必要で,コストや手間がネックとなっていました。

本プロジェクトでは,生成AIを活用して論文AbstractからGAを自動生成する方法を検討し,低コストで誰でも利用できる実用的な手法の実現を目指して,試行を重ねています。
これにより,専門外の読者にも研究成果が直感的に伝わりやすくなり,学術情報の「伝わる化」を推進することが可能になります。

さらに,この取り組みは山梨大学が掲げる「万人への情報提供の実現」にも大きく貢献します。

では,実際にどのようにしてGAを生成し,その有効性を検証したのかを見ていきましょう。

(1) GAの生成実験と評価方法について

使用したプロンプトの種類や,実験時の評価方法を詳しく説明しています。
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(2) GAの評価結果

実際に行った実験の結果をまとめています。
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(2′) 実験に用いたGAの画像

この実験に使用したGA生成画像を掲載しています。
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(3) まとめと考察

これまでの実験結果の考察とまとめを示しています。
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おわりに

このページでは,画像生成AIを活用したグラフィカルアブストラクトの実践について報告しました。その周辺にある技術的・構造的な考察については,こちらをご参照ください。